2017年度

第180回、第181回東アジア英語教育研究会

11月に行う予定でした研究会ですが、伊藤彰浩先生のご都合により、12月2日(土)に日本言語テスト学会との共催で行うこととなりました。

12月の研究会は通常通り行います。 2回分の研究会の案内を致します。お忙しいことと存じますが、ご参加いただければ幸いです。 なお、会場が異なりますのでご注意下さい。  

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日本言語テスト学会・大学英語教育学会東アジア英語教育研究会共催 西南学院大学英語教育研究会(第180回東アジア英語教育研究会)  

日時:12月2日(土)14:00-17:15(15:20までを第180回東アジア英語教育研究会とします)

場所:西南学院大学東キャンパス 西南コミュニティーセンター    テーマ:「ことばの学習と習得を科学する」 

受付開始:13:45~ 開会の辞:14:00~14:10

研究発表1: 心理言語学研究(14:10~14:30, 14:35~14:55, 15:00~15:20)

1. 「tough構文の理解:意味的透明性と漸進性」    伊藤彰浩(西南学院大学) 

2. 「第2言語理解におけるメロディー呈示の有効性」  村木華子(西南学院大学4年)

3. 「C-Test 項目の難度決定要因の探求」        田中清之介(西南学院大学4年)  

休憩・歓談 15:20~15:40  

研究発表2:個人別態度構造分析を利用した英語教育研究の試み(15:40~16:00, 16:05~16:25, 16:30~16:55)

4. 「英語科教員の『やりがい』に関する個人別態度構造分析」 吉岡桃子(西南学院大学4年)

5. 「英語科教員の『人間性』に関する個人別態度構造分析」 井上隆太朗(西南学院大学大学院)

6. 「英語学習に対する『意識の差』に関する個人別態度構造分析」 河瀬拓也(西南学院大学大学院)  

総合討議(16:55~17:15) 閉会の辞(17:15)

懇親会(18:00~20:00)  

参加費 日本言語テスト学会 (JLTA) 、大学英語教育学会 (JACET) 会員および学生は無料。それ以外の方は500円。

問い合わせ先 伊藤彰浩(西南学院大学)email: LTSLA77@hotmail.com  

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第181回東アジア英語教育研究会  

日時:12月2日(土)15:30-17:30

場所:西南学院大学1号館307教室  

全体テーマ:「これからの英語教育 ―質保証にむけて―」(京都大学大学院)  

発表1:外国語授業における学びの質―学習者の視点から 加藤由崇(中部大学),笹尾洋介(京都大学),田地野彰(京都大学)  

本研究の目的は,外国語授業における学習者の学びを問い直すことで,大学の英語教育の質保証を授業改善の観点から考察することにある。具体的には,ある私立大学の英語授業において,毎回の授業後に学生から提出されたリアクションペーパーの記述をもとに,学生が「何を」「誰から」学んでいるのか,その多様な学びの在り方を明らかにするとともに,その結果に基づく授業改善と質保証に向けた取り組みについて議論する。  

発表2:意味を重視した英語指導法の構築と検証 細越響子(京都府立大学),髙橋 幸(京都大学),金丸敏幸(京都大学)  

本発表では,新刊Akira Tajino編『A New Approach to English Pedagogical Grammar: The Order of Meanings』(Routledge, U.K.)より,意味を重視した英語指導法(「意味順」)を活用した英語教育の質保証に向けた取り組みを報告する。インストラクショナルデザインの枠組みを用いて意味順の妥当性を検討した後,iPadを活用した意味順学習アプリの開発,文法解析タスクによるリスニング指導の検証の事例報告から,質保証に向けた意味順の教材,タスクのあり方を議論する。  

発表3:「詩とは何か」からはじまる音声指導―英詩研究者からの提言(Part II) 桂山康司(京都大学)  

通常の科学的言語理解から始まる音声指導に対して、「詩とは何か」から始まる音声指導というのは、具体的にはリズムの体得から始まる音声指導を意図しています。物理的音韻理解ではなく、何故、まずリズムの体得なのか?分析的科学知(logos)に対して、総合的物語知(mythos)のもつ直覚的理解を優先する言語習得の方策を、理論的背景から説き起こし、初等教育にも適応される音声指導上の実際にいたるまでの見取り図を具体例に基づき提案したい。

第179回東アジア英語教育研究会


日時:10月21日(土)15:30-17:30  場所:西南学院大学1号館702教室  

発表:「ジャイロスコープ、楽しい英語体験事業への挑戦」 桂 次郎(ジャイロスコープ)、久保正次(ジャイロスコープ)

〔要旨〕 「楽しい英語体験」をハウステンボスなどで展開するベンチャー企業ジャイロスコープは創設から7年が経過した。正に海図なき航海であったため、過去何度となく座礁の危機に瀕したが、年間12,000人以上の参加者を得るに至り、漸く経営も安定軌道に入った。本発表では、今日までの経過と教訓につき概観し、Fun Firstコンセプトに基づく英語プログラム群を紹介する。更にグローバル人材教育事業への本格参入に向けた事業戦略とその一環として開発したスピーキングテストの実証実験等の状況につき報告する。

第178回東アジア英語教育学会

日時:9月16日(土)15:30-17:35  

場所:西南学院大学1号館702教室  

発表1:「日本の中・高等学校英語教員に期待される口頭発表能力-英検「準1級」二次面接試験の素材と質問文の分析を通して-」 達川奎三(広島大学)

〔要旨〕 文部科学省は,「実用英語技能検定」(以下「英検」)の「準1級」を,公立中・高等学校英語教員の敷居点(threshold)として設定し,その取得を積極的に奨励している。具体的には,2017年度までに中学校英語教員の50%,高等学校英語教員の75%以上が英検準1級以上を取得するという国の目標が示されている。しかし,同省の平成27年度「英語教育実施状況調査」によると,2015年度時点での達成率は公立中学校が30.2%,公立高校は57.3%である。英検「準1級」は,CEFRでは主としてB2(実務に対応できる者・準上級者:Vantage or upper intermediate)からC1(優れた言語運用能力を有する者・上級者:Effective operational proficiency or advanced)レベルと考えられる。本研究では,二次面接試験問題の「素材」と「質問文」の特徴を分析することによって,英語教員に期待される口頭発表能力について考えてみたい。今回の発表では2007年度から2015年度まで(9年間分)の面接試験問題を内容(情報)的観点と言語学的観点から分析する。考察の結果,内容的には「social」「abstract」「logical」などのキーワードを挙げることができ,他方,質問文にはいくつかの表現パターンがあり,さらに語彙レベルに関してはトピック依存語以外はごく基本的なものであることが判明した。   

発表2:「4技能統合型英語教育:スピーキングとライティングに焦点をあてて」 柏木哲也(北九州市立大学)

〔要旨〕 2020年度から開始される4技能入試は民間の試験も活用した大規模な教育改革である。今までインプット中心だった試験科目に加え、アウトプット系のスピーキングとライティングを取り入れる試みである。日本人EFL学習者の算出する英語に関して流暢性を伸ばし、複雑さを増すにはどのようなタスクが必要なのであろうか。プレゼンテーション、Dictogloss、1分間スピーキング、文要約、論説文ライティングという複数のタスクにおいて計量的な結果分析と共に、学生の持つ意識を気づきノートから概観する。

第177回東アジア英語教育研究会

日時:7月15日(土)15:30-17:30  

場所:西南学院大学1号館702教室  

特別シンポジウム:「学習者コーパスを用いたL2産出の問題点の 諸相:英語・ 日本語教育の視点から」  15:30~ 趣旨説明(石川慎一郎)     

15:35~16:00 第1発表

朱琳(神戸大国際文化学研究科研究生)  「日本語学習者の活用誤りをどう分類するか? ―主要な日本語学習者コーパスの比較調査から―」   

本研究は, 既存の日本語学習者コーパスにおいて活用誤りとされている学習者 のL2日本語使用実例を収集し, その分類の枠組みを検証することを目指す。具体的には,「 なたね」,「寺村データベース」,「日本語学習者作文コーパス」 ,「国際日本語学習者作文コーパス及び誤用辞典」の4つのコーパ スから誤用例を取り上げ,(1) それぞれのコーパスにおいて活用誤りがどのように内部分類されて いるか,(2)各タイプの誤用の発生頻度はどの程度であるか,(3) 頻度を考慮することで活用誤りの分類の枠組みをどのように整理で きるか,の3点を検討する。  

16:00~16:25 第2発表

鄧琪(神戸大学国際文化学研究科学生)  「中国人日本語学習者による外来語使用パタンの変化:『 日本語学習者の縦断的発話コーパス』に基づく分析と考察」   

外来語は日本語の語彙の重要な一部を占めるが, 日本語学習者にとっては習得がきわめて困難なものの1つである。 本研究では, 中国人日本語学習者の外来語使用パタンの時系列的な変化を捉える ために,「日本語学習者の縦断的発話コーパス」(C-JAS) を用いた縦断的分析を行う。具体的には,時間の経過につれて, 使用される外来語の(1)全体頻度,(2)多様性,(3) レベル,(4)誤用にどのような変化が見られるかを調査する。 あわせて,日本語母語話者の外来語使用状況を調査し, 中国人日本語学習者の外来語使用が母語話者にどの程度近接していくかを考察する。  

16:30~17:10 第3発表

石川慎一郎(神戸大学 大学教育推進機構/国際文化学研究科)  「1分間発話量に見るアジア圏英語学習者の発話流暢性: ベンチマーキングの観点から」  

L2指導,とくに,スピーキング指導において, 学習者の流暢性を伸ばすことはきわめて重要であるが, アジア圏の英語学習者の発話流暢性に関して, 現状がどのようなもので/いつまでに/どのレベルまで/ どのようにしてそれを伸ばすべきかを示す具体的な指針は存在して いなかった。本発表では, アジア圏英語学習者の統制的モノローグを大規模に収集したICN ALE-Spoken(Monologue) モジュールの解析結果をふまえ,この点を計量的に明らかにし, 今後のスピーキング指導の手がかりを示すこととしたい。  

17:10~ 総括ディスカッション  

第176回東アジア英語教育研究会

日時:6月17日(土)15:30-17:30  

場所:西南学院大学1号館702教室  

発表:「多文化組織としての大学英語教育プログラム」 小田 眞幸(玉川大学)

要旨〕        本発表では、2014年に発足した玉川大学のELFセンター(Center for English as a Lingua Franca)の英語教育プログラムについて、組織運営の観点から振り返りながら、今後の大学における英語プログラムのあり方についていくつかの提案を行いたい。発表は前半の講演と後半のワークショップに二部構成で行う。  まず、第1部では筆者が大学英語教育に初めて従事した1990年代前半から現在に至るまでの大学における英語プログラムの変遷を応用言語学、特に世界における英語の位置づけと多様性と関づけながら概観する。具体的には、ネイティブスピーカーをモデルとした大学英語教育プログラムから、World Englishes (WE) やEnglish as a lingua franca (ELF) を意識したプログラムへの変化の実態と、それにともなう教師に求められる資質の変化について先行研究を概観したうえで、大学英語教育の英語教育プログラムの「多文化」化、そしてこれまであまり研究されてこなかった「多文化組織」としての大学英語教育プログラムについて組織運営の観点から論じ、「多文化組織」だあるからこそ起こる様々な問題点を抽出し解決策を提案していく。  第2部ではワークショップ形式で、多文化組織としての英語教育プログラムの管理・運営の中で生ずるコンフリクト(鈴木 2016)いくつの事例をあげ、それらを小グループで分析したうえで、解決策を検討しながら、今後、増加するであろう「多文化組織」としての英語教育プログラムの運営に必要な事項を参加者とともに検討したい。  ------------------------------------------------------------------------------

第175回東アジア英語教育研究会

日時:5月20日(土)15:30-17:35(発表①15:30-16:30、発表②16:35-17:35)  

場所:西南学院大学1号館702教室  

発表1:「韓国発自立型学習タブレット教材SMARTreeの大量インプット&アウトプットによる4技能学習法」 吉澤 眞理(株式会社Pep)、林 千晶(福岡女学院大学)

〔要旨〕        英語力を向上させるためには良質の英語を大量にインプットし、アウトプットすることが重要だと、多くの英語講師は認識している。しかし、実際は紙・CD媒体などの教材でのレッスンでは、教室外での英語学習時間を延ばすことや、同じレッスンを繰り返し学習させることは難しい。本発表では、2014年度より韓国で開発された「SMARTree」を採用し、小学校1年生~6年生(約60名)を指導してきた私塾「ブライトフューチャー(神奈川県平塚市)」の成果と「SMARTree」の概要踏まえ、大量インプットとアウトプットを実現した教授法について、実際の教材及び教室での様子(動画・画像)を用いて発表する。また、今後、デジタル教材の採用を考えている/興味がある参加者の興味に応じた話題を提供したいと考えている。

発表2:「教科としての小学校英語教育は大丈夫か?-韓国の小学校英語教育と比較して-」 木下 正義(元福岡国際大学)

〔要旨〕 次期学習指導要領教諭調査で小学校英語8割「自信ない」教科化の反対も6割に(西日本新聞(朝刊)2017.3.28)。調査は昨夏、全国の公立小中学校と公立・市立高校の教諭約15,300人の調査結果である。Active Learningも小学校31%、中学校18%・高校13%と浸透していない。教諭の生活では平均睡眠時間が小学校教諭で5時間47分と短く、休日出勤も「ほぼ毎週」は中学校74.5%、高校52.4%で、多忙な実態が改めて浮き彫りになった。小学校で英語が教科になればその弊害は大きい。日本より20年前に小学校英語が教科として始まった韓国と日本と比較し、昨年二度、韓国英語教育視察に出かけて、韓国の小学校英語授業参観と参観後の担当教諭との討論会、プサン教育庁教育政策課及び韓国教育課程評価院(KICE)で韓国の小学校英語教育の実態と展望及びICT活用に関して調査をした。2月にウルサン市の私塾(English Mou Mou)で小学生のタブレット使用した学習・授業参観などを通しての実態を報告したい。 ------------------------------------------------------------------------------

第174回東アジア英語教育研究会

日時:4月15日(土)15:30-17:35(発表①15:30-16:30、発表②16:35-17:35)  

場所:西南学院大学1号館702教室  

発表1:「英語教員の在外研究:Teacher-Researcherとしての成長に関する考察」 津田 晶子(中村学園大)、金志 佳代子(兵庫県立大)

〔要旨〕        本発表では、大学の長期休暇制度(Sabbatical)を活用して英国のレディング大学で1年間、客員研究員として所属し、(津田:White Knights CampusのLinguistics 部門, 金志:London Road CampusのPedagogy部門)、1年間の在外研究により、研究・教育生活に対する意識が帰国後、どのように変わったか、帰国後1年目と2年目に相互インタビューをし、分析した結果を発表する。 また、研究留学の手続きや、所属大学の選び方などの「出発前の準備」について、イギリスの大学院における外国人研究者に対するサポート、在籍期間修了後の研究のネットワークなどついて、参加者の興味に応じて話題を提供したい。  

発表2:“CLIL Lesson Plan for British Food culture” (使用言語:英語) トーマス・ケイトン(中村学園大)

〔要旨〕 本学の短期大学部の食物栄養学科、幼児保育学科、キャリア開発学科の1年生を対象とした選択の教養科目「世界の食と文化」が新規に開講され、毎回、各国のゲストスピーカーが母国の食文化を紹介し、イギリスの回では、CLILアプローチで、ワークシートを使用して、これまで学校の英語の授業ではあまり触れられていないイギリスの食文化を英語で学ぶ機会となった。本発表では、「英語教員なら知っておきたいイギリスの食文化」として、日本人英語教員向けにアレンジをし、授業ですぐに使えるCLILのレッスンプランを紹介する。