2023年度

第233回東アジア英語教育研究会

日時:5月20日(土)15:30-17:30(予定)
場所: オンライン開催
参加費:なし
参加方法:参加を希望の方は、参加申込URLより、事前登録をお願いいたします。
参加申込:https://forms.gle/PXxmc1PHWe5FiKcSA

発表1:「医療従事者養成大学における医療英語教育~医療通訳養成を元に考える」
西原玲奈(中村学園大学非常勤)
〔要旨〕
医療従事者は養成校を卒業後、即戦力としての活躍が期待される。日本国内では医療通訳を配置している病院は数が限られており、多くの病院では英語が得意な内部の者か、外部のNPOや電話通訳で他言語話者とコミュニケーションをとっているのが現状である。現在、国際臨床医学会(ICM)認定医療通訳士となるには、医療機関での通訳キャリアを元に実務認定を受ける他に、厚生労働省発表医療通訳育成カリキュラムに沿った研修を履修し、試験を受ける方法がある。2レベル設定されている場合、上位の試験受験には75時間の研修が必要である。一方、大学で英語を教える時間は限られている。
発表者が医療通訳試験受験資格講座で実技を教えている医療通訳学校(日本医療通訳アカデミー:東京)と医療英会話を教えている栄養士養成大学(中村学園大学)でアンケートを実施し、限られた時間ながら、学生時代に学んでおくと後々、現場で役立つであろう内容を検討した。医療通訳学校では現場対応能力を付けるために、調べ物やメモ取りの仕方なども訓練するが、大学一年生には診察室での会話台本を用いたロールプレイが目標設定になり、背景知識や基本表現を習得できるため適していると考えられる。

発表2:「西方見聞録:欧州の多言語主義について―スペインのバスク地方を中心に」 
志水俊広(九州大学)
〔要旨〕
所属先のサバティカルを利用して2022年10月半ばから2023年3月半ばまで約5か月間スペインのバスク自治州のサン・セバスチャン(バスク語名ドノスティア)に拠点を置き、スペインおよびフランスのバスク地方とポルトガルの多言語主義について研究・視察してきた。従来バスク地方はバスク語とスペイン語、あるいはバスク語とフランス語のバイリンガル(2言語併用)地域だと紹介されてきたが、バスク地方のみならず欧州(EU域内)は今やmultilingualism(多言語主義)が主流である。現地の多言語主義の実情と成果および問題点を報告し、日本における多言語主義の可能性にも言及したい。

事務局
原 隆幸

第232回東アジア英語教育研究会


日時:4月22日(土)15:30-17:30(予定)
場所: オンライン開催
参加費:なし
参加方法:参加を希望の方は、参加申込URLより、事前登録をお願いいたします。
参加申込: https://forms.gle/stV8fJJx5NpXVr2N7

発表1:「科研費プロジェクト:生涯教育としての食育英語を考える―多文化共生社会の視点から―」津田晶子(中村学園大学)・早瀬沙織(宮﨑大学)・仁後亮介(中村学園大学短期大学部)
〔要旨〕
日本の小学校、中学校の学校給食制度は、地産地消を取り入れ、給食を通じて「食育」を学ばせる場として世界的に注目されている。(黒谷 佳代, 新杉 知沙, 三好 美紀, 瀧本 秀美,:食育の推進のこれまで, 栄養学雑誌, 78, 50-59, 2020.)
しかしながら、高校、大学になると、給食制度の恩恵を受けることがなくなり、生徒・学生への食育は、継続的には行われていない。
この科研費プロジェクトでは、地域に外国人居住者が増え、食の多様化に対応が迫られる中、英語教員と栄養学教員・調理学教員が協業し、英語教育と食育を融合させて、小中高大連携の視点から「食育英語プログラム」を開発することを目標としている。
本発表では、津田(英語教員)の視点から、本プロジェクトの全体の調査計画、早瀬(英語教員)の視点から、英語教科書における食育に関する内容の概要、仁後(調理教員)の視点から、栄養教諭・家庭科教諭を対象とした現場の異文化コミュニケーションの実態についてのインタビュー内容、また今後新たに取り組む九州・沖縄のフィールドワークと郷土料理の日英動画の開発の概要について、報告する。

発表2:「アンガーマネンジメントをCLIL教材として活用する可能性について—翻訳本を通して」 
古村由美子(名古屋外国語大学)
〔要旨〕
本発表では、スーザン・フィッチェル著“Transforming Anger to Personal Power”を
CLIL教材として活用する可能性について述べる。本書は、自分のネガティブな感情に振り回され友人関係や親子関係に悩む子供たち向けの題材を使用しているが、アンガーマネジメントの基本的な方法が書かれているため、年代を問わず使用できる。もし、この本をCLIL教材として大学で使用するとすれば、ロールプレイを含む英語でのやり取りなどを通じて英語力向上を図ると共に、今後の人生にも有益な感情コントロールについても学ぶことができる。2023年2月に出版した本書の翻訳書「アンガーマネジメント・レッスン―怒りの感情を自分の力に変えよう」を利用して内容への理解を深めることができるため、本発表ではアンガーマネジメントの概略とその有効性について説明する。

発表3:「English Language Education at Ukrainian Schools and Universities」 Oksana Ukrainets(九州大学留学生)
〔要旨〕
Over the past few decades, there has been a significant rise in the need for better English language proficiency in Ukraine. This is because people want to interact, exchange ideas, and gain knowledge from the rest of the world. This has involved the government, educators, and the public, and in 2016, Ukraine designated it as the “Year of English” to emphasize the importance of the language.
English has become an essential life skill in the 21st century, comparable to computer literacy, rather than just a specialized skill. It allows people to access a broader range of information and perspectives beyond their native language. Ukrainian schools, teachers, and language courses have made a considerable and enduring impact on the teaching and learning of English in schools and universities across the country. This will lead to an improvement in overall English proficiency among the population and ultimately contribute to Ukraine's economic growth, adaptability, and global connections.
I am happy that Ukraine has a diverse choice of methods to teach languages, with some of them being focused on a quick and effective language acquisition, while others pay more attention to learning language from interesting and admirable materials through extensive listening and reading. That is what I plan to present during the meeting on the 22nd of April: language schools, peculiarities of language teaching styles, the overall attitude towards language acquisition processes in Ukraine and several other languages-learning related topics.

事務局
原 隆幸