2019年度

第203回東アジア英語教育研究会

日時:12月14日(土)15:30-17:30
場所:西南学院大学3号館403教室
参加費:500円
※なお、参加を希望の方は、参加申込URLより、事前登録をお願いいたします。
参加申込URL:https://forms.gle/eiNv8WHHwmPzAtrh7(←クリック)

全体テーマ
「明日の大学英語教育を考える-文学からアカデミックライティングまで-」

発表1:「大学英語教育研究を整理する」田地野 彰(名古屋外国語大学)
〔要旨〕
大学英語教育研究は、言語学や教育学、心理学など、種々の学問領域と関わりながら、語彙や文法研究、学習者論、教師論、授業研究、ESP研究などによって構成されている。英語教育研究は本来学際的な性質を有するものであることから分野間交流のより一層の活性化が望まれる。本発表では、大学英語教育研究のさらなる発展に向けてコミュニケーションの観点から英語教育研究の体系化に向けた整理を行いたい。

発表2:「学術目的の英語教育における教師の言語的背景・コンピテンシーとライティング指導」平野あかり(京都大学),髙橋 幸(京都大学)
〔要旨〕
本研究では、日本におけるEAP 教師のコンピテンシー枠組み構築の試み(マスワナ他,2019)を参考とし、学術目的の英語教育に携わる教師の言語的背景・コンピテンシーの調査を行った。その調査結果に基づき、それらがどのようにライティング指導に影響するか明らかにした。また、模範となるライティングのモデルと教材に関して、言語的背景の異なる教師による認識の差異がみられたため、その差異を踏まえた指導の在り方を提案する。

発表3:「研究論文作成におけるスタンスの形成と表明: 学部生の執筆過程の探索的研究」
川西 慧(武庫川女子大学),細越響子(京都府立大学)
〔要旨〕
研究論文におけるスタンスの表明については多くの研究がなされ、コーパスを用いたアプローチから熟達した書き手が用いる表現の特徴が示されてきた。本研究は、論文執筆の経験が浅い中級レベルの学部生を対象に、自身の言語リソースでどのようにスタンスを表明するかを調査した。本発表では論文の序論を中心に、論証する情報の選択から自身のスタンスの形成、使用する言語形式の選択と執筆までに観察された特徴と課題を報告する。 


発表4:「大学EAPプログラムの質保証-英国の認証評価の仕組みと日本への示唆」
飯島優雅(獨協大学),山田 浩(高千穂大学),マスワナ紗矢子(目白大学)
〔要旨〕
国内大学における学術目的の英語(EAP)教育の課題は、専門科目と英語科目の連携、教員養成、教材、質保証枠組みの欠如にある(JACET EAP調査研究特別委員会, 2018)。教育改善に繋がりうる質保証の枠組みと活用について検討するため、本発表では、英国で実施されているBritish CouncilとBALEAP学会のEAPプログラム認証評価の仕組みを概観する。現地での聞き取り調査結果から、この仕組みの特有性、活用法、さらに日本への汎用性について報告する。


発表5:「学習者視点を導入したEAPライティング技能評価ルーブリックの開発」
マスワナ紗矢子(目白大学),寺内 一(高千穂大学),髙橋 幸(京都大学),金丸敏幸(京都大学),田地野 彰(名古屋外国語大学)
〔要旨〕
本研究では、評価および自律的な学習支援を目的としたルーブリックの開発にむけて、EAPライティング技能に関する学生の意識調査を行った。大学生17名を対象に、47項目からなる質問紙調査を実施した結果、学生は形式や英語の正確さが重要であると考える一方で、推敲や専門分野の書き方についての意識は英語教員と異なることが明らかになった。調査結果をどのようにルーブリック開発に取り入れるかについて考察する。

発表6:「言語技能と教養の融合を目指して-英詩研究者からの提言」
桂山康司(京都大学),吉田亞矢(京都大学)
〔要旨〕
運用能力の早急な育成が唱えられて以来、大学英語教育は、真の教養に裏打ちされた高度な言語技能獲得への道を直向きに歩んできたのだろうか。教養の涵養と言語技能の育成に邁進するなか、本来融合すべき両者の関係に歪みが生じ始めている。「教養=役に立たない、担当教員の趣味」「技能=ただのペラペラ、紋切り型の訓練」の垣根を越え、ことば本来の、表現の曖昧性と創造性に基づく言語教育のあり方が今、求められている。


事務局
原 隆幸

第202回東アジア英語教育研究会

日時:11月16日(土)15:30-17:35
場所:西南学院大学 西南学院百年館2階 第2会議室(いつもと会場が違います)
参加費:500円

発表1:「インプットに基づくライティング活動-リスニングとライティングの統合を目指した実践と学生の受止め-」 達川 奎三(広島大学)
〔要旨〕
本事例報告の目的は,大学教養教育英語ライティング授業における「ラジオ・ドラマ」使用の有用性を検討することである。学習者の聴解力育成に関わっては,映画やテレビ・ドラマなどの視聴覚教材の利点について多くの報告がある。しかしながら,外国語教育におけるラジオ・ドラマの活用についての報告は少なく,とりわけライティング指導における有用性の報告はほとんどない。達川(2015, 2016)では,ラジオ・ドラマをライティング活動の「インプット素材」として用い,学習者の受け止めなどについて調査し,肯定的な結果を得た。それらに引き続き,本論では合計167名の受講生に対して行った調査に基づき,学生の英語習熟度や専攻が異なっても,その有用性が支持されたことを報告し,ライティング活動における動機付けを促進するインプット素材のあり方について考えてみたい。

発表2:「日本・台湾・韓国の大学入試英語長文問題分析―最近20年の変化及び横断的な差異について―」 柏木 哲也(北九州市立大学)
〔要旨〕
英語の大学入試制度が大きく変わる。4技能の能力を測ることに加え、民間の試験導入が決まり、学習教材、リーディング教材、試験問題形態としての英語長文が、俄かに脚光を浴び始めた。本発表は、日本の国公立大学の1998年、2008年、2018年の20年間にわたる2次試験における英語長文問題(縦断的研究)、近隣である韓国のCSAT(大学修学能力試験)、台湾の学科能力測験と指定科目考試に加え、センター試験及びTOEFLの市販問題集をサブコーパス化し(横断的研究)比較を試みた。分析手法は、①テクストの複雑さ(平均語長、平均一文語数、異なり語率)②語彙レベル③出現率の差がある文法項目と語彙 ④使用頻度比の増加と減少が見られる語(句)の4点である。結果として①日本国内では単語難度の上昇と語長及び平均文長の延び ②韓国、台湾の単語難度に近づきつつあること ③平均文長は3か国で異なり、日本が最も長いこと ④リーダビリティ―値はTOEFLが最も高く、日本の入試問題は20年で1学年分上昇し、アジア3か国で最も高い値を記録していること、が判明した。また日本の入試問題に実証的な説明文の内容理解と知的総合力を和訳で測ろうとする2極化が見られている。

事務局
原 隆幸

 

第201回東アジア英語教育研究会

日時:10月26日(土)15:30-17:35
場所:西南学院大学3号館402教室(旧図書館棟)
参加費:500円

発表1:「国際人育成への新たなアプローチ」 桂 次郎(ジャイロスコープ)
〔要旨〕
2020年の創業以来、ジャイロスコープでは、「日本で生まれ育った若者が国際人になるお手伝いをすること」をミッションとして、楽しさを追及した様々な英語プログラムを輩出してきた。2018年と2019年においては、日本初の中学生英語選手権を二度開催し、大好評を得ることができた。また、国際人育成の最終ステップとして、職業体験型アメリカ研修の事業化に取組むとともに、小学生が心から楽しめる英語アミューズメント施設の準備も進めている。第201回東アジア英語教育研究会での発表においては、これら新しいアプローチによる国際人育成プロジェクトの結果と今後の展開につき報告する。

発表2:「Teaching and Learning of Languages at School in Europe: Main Findings from Eurydice Report 2017」 樋口晶彦(宮崎国際大学)
〔要旨〕
This study deals with “Teaching and Learning of Languages at School in Europe” by focusing on main findings from Eurydice Report 2017. This report was based on the key data on teaching languages at school in Europe-2017 edition when the author took part in the International Conference on Teaching and Learning of Language in Florence, Italy. This key data covers a wide range of subjects in relation to the teaching and learning of foreign languages in Europe. Main findings in the report are necessary for language teaching and learning in Japan because there are some important new changes and challenges in language policy in Europe. They are lowering ages in learning the first foreign language, learning two foreign languages for lower secondary students, and providing language support for newly arrived migrant students, etc. The new changes and challenges in language teaching and learning in European contexts will surely give us some hints to the current situation in teaching and learning foreign language education in Japan. This present study considers what could be the keys from Europe to Japan in foreign language teaching and learning, suggesting future prospects in foreign language education in Japan.

事務局
原 隆幸

東アジア英語教育研究会第200回記念大会

日時:2019年9月14日(土)14:00-17:35
会場:西南学院大学3号館403教室
参加費:500円

※なお、参加を希望の方は、参加申込URLより、事前登録をお願いいたします。
参加申込URL:https://forms.gle/t9US8gNRsw1YoaJu8  ←クリック

プログラム (Program)
1.開会式 (Opening Ceremony)(15分)14:00-14:15
総合司会:志水 俊広(九州大学)
開会挨拶:原 隆幸(鹿児島大学)
挨拶及び祝辞:
1) 研究会代表:木下 正義(元福岡国際大学)
2) JACET会長:寺内 一(高千穂大学)祝辞代読
3) JACET 九州・沖縄支部長:石井 和仁(福岡大学)
4) 前JACET副会長:山内 ひさ子(元長崎県立大学シーボルト校)

休憩 (Break)(5分)14:15-14:20

2.特別講演 (Featured Lecture)(20分)14:20-14:40
「東アジア英語教育研究会の過去、現在及び将来」
東アジア英語教育研究会代表 木下 正義先生

休憩 (Break)(20分)14:40-15:00

3.Symposium 15:00-17:30
  Title: Current Situation in ELES in Japan, Korea, and Taiwan: Teacher Training
and Future Prospects
Coordinator: Akihiko Higuchi (Miyazaki International College)
Invited speakers:Mae-Ran Park(Pukyong National University, Republic of Korea)
        Jenny Chen(National Taipei University of Education, Taiwan)
Noriko Kawakami (Kagoshima Immaculate Heart University, Japan)
〔要旨〕
初等学校英語教育の課題として考えられる以下の諸点を中心にパネリストの皆さんには御発表頂きます。
1. 初等英語教育の歴史的経緯
2. 初等英語教育の現状
3. 教員研修の問題
4. 初等英語教育の現在の課題
5. 到達目標(文科省は到達目標にCEFRを考えているが、そもそもCEFR導入の際の議論は何も行われていなかった。さらにCEFRは既に到達目標の内容が変更されていることに対して文科省は何も発表されていないのが日本の現状と捉えている。このCEFRが様々な面で日本の外国語教育政策に影響を与えてきたにも関わらず、特に何の異論もなく日本の外国語教育政策においてほとんど大した議論もなく導入されていることに問題はないのか。
コーディネーターとして主に上記の諸点に関して進めていきたいと考えています。

4.閉会式 (Closing Ceremony) 17:30-17:35
  閉会挨拶:柏木 哲也(北九州市立大学)

5.懇親会 (Party)(2時間)18:00-20:00於:西南クロスプラザ(会場よりすぐ)


第199回東アジア英語教育研究会

日時:7月27日(土)15:30-17:35
場所:西南学院大学3号館402教室(旧図書館棟)
参加費:500円

発表1:「小学校英語の実践のための語彙の選定」 石田 麻衣子(神戸大院/神戸大附属小)/
石川慎一郎(神戸大学)
〔要旨〕
小学校において英語が教科化する中で,少なくとも5~6年生の指導については,教科書が中心になっていくものと予想される。しかしながら,英語の指導に規定の授業時数以上を割り振っている学校では,教科書に加え,独自の投げ込み教材を用意する必要は残るだろう。こうした追加教材を作成する上で留意すべきことの1つは,語彙の多様性に配慮することである。
本発表では,まず,第1発表者(石田)が,小学校での指導経験をふまえ,中学校との連携を強化する上で,小学校側で重視すべき語彙について報告を行う。その後,第2発表者(石川)が,レキシカルシラバスの理念をふまえた小学校英語のための語彙選定について論じる。

発表2:「CLIL的アプローチから考えられる可能性と課題について」 東 宮史(東亜大学)
〔要旨〕
CLIL (Content and Language Integrated Learning) は比較的新しいアプローチであり、英語と内容のどちらにも焦点を当て、学生が英語学習を通し知識を増やすことから、負荷のかかる学習方法である。CLIL において4つのC (content, communication, cognition, culture) がバランスよく強調されることは効果を最大限に引き出すために必要不可欠である。また、言語に重きを置くアプローチはSoft CLILに、内容に重きを置くアプローチはHard CLILにそれぞれ分類される。CLIL環境下では、クラスメイトとの助け合いが不可欠であり、結果として自律的に学ぶ力を培うことができると考えられる。本研究では、英語を専攻する学生対象のSoft CLILクラスから、また、教職を目指す学生に対し、専門の教員が英語で授業を行い、英語教員が言語の補助役として一度限りのHard CLIL で講義を行うパイロットスタディから、学生と教員にとっての可能性を探ると同時に、そこから考えられる課題が明らかになった。取り扱う話題(content) や協働作業 (communication, culture) を肯定的に捉え、英語学習に対する意欲を強く感じた学習者がいた反面、そのような活動を苦手とし、その必要性を強く感じない学習者が少なからずいることも明らかになった。よって、いかにしてそのような学習者に興味を持たせるような内容を提供できるか、そして協働作業の効果および意義を問うことができるかが課題であることが明らかになった。

事務局
原 隆幸


 

第198回東アジア英語教育研究会


日時:6月15日(土)15:30-17:35
場所:西南学院大学3号館402教室(旧図書館棟)
参加費:500円

発表1:「小学校英語教員(JET)養成と小学校教材内容と使用語彙の分析」木下正義(元福岡国際大学)・柏木哲也(北九州市立大学) 
〔要旨〕
「小学校英語教員(JET)養成の現状」木下正義(元福岡国際大学)
日本の英語教育の欠点を敢えて挙げれば1)小学校英語教師の英語能力と指導法の欠如、2)大学入試センター試験に「話す」・「書く」が排除されており「民間試験」の使用を受験生は余儀なくされること、3)高校英語教師の「英語を話す」指導体制が整備されていないことである。今回は1)の項目に関しての発表である。
第175回東アジア英語教育研究会(於西南学院大学、2017年5月20日)に「教科として小学校英語教育は大丈夫か?-韓国の小学校英語教育と比較して-」で話して2年が経過した。今回は小学校英語教員養成に関して、台湾・韓国の英語教員養成の実績と九州各県の小学校英語教員養成研修会の実態を研鑽・調査した結果と文部科学省「平成30年度(2018年)小学校等における英語教育実施状況調査」の報告と関連づけ、将来の小学校英語教員(JET)養成が如何にあるべきかを論じたい。

〔要旨〕
「日本とフィンランドの小学校英語教科書に出てくる語彙比較」柏木哲也(北九州市立大学)
本研究は、日本とフィンランドの小学校で使用される教科書で扱う語彙を比較し、どのような傾向や相違、及び示唆が見られるのかを実証的に研究しようというものである。コーパス化した日本の教科書は、主に3,4年生で扱う “Let’s Try 1”, “Let’s Try 2” 及び5,6年生で扱う “We Can 1”, “We Can 2” である。フィンランドの教科書は “Yippee 6”を使用した。各コーパスサイズは、日本の教科書(以後JC)が706語、フィンランド(以後FC)が2456語であった。平均語彙長(JC:FC=5.2:5.4)も平均語彙難度(JACET8000)(1.5:1.8) もフィンランドの方が高かった。主な相違点としてJCに多く含まれる語は、①名詞全般②学校(施設)、文房具、色、形及び数字④行事や食べ物が挙げられ、少ない語として①動詞、形容詞、副詞②感情や情緒を表す語③義務を示すmust, shouldが挙げられ、この傾向は日本人の書いたライティングコーパスと一致する。FCは、①形容詞や動詞の語彙レベルが高く種類も豊富で②徴兵制があるためか軍事に関連した語(troop, rocket, battle, warなど)や③学生の生活を直視した語(comic, chat, borrow, messy)④身近な語(door, compass, floorなど)⑤感情を表す語(afraid, amaze, hate, shy, shock, sorrow)も豊富である。恐らくこれらの相違点や差は、文化、風土に根差したものと考えられるが、必要な部分は取り入れながら、今後徐々に改善されていくものと期待される。

発表2:「Serious ENGLISH with Lego Bricks: Facilitating Communicative Competence in English Education」 Hisako, OHTSUBO (Showa Women’s University)
〔要旨〕
The purpose of this study is to promote English fluency using LEGO Serious Play Methodology. This paper outlines ongoing research into how to improve complexity, accuracy and fluency in Japanese high school students’ spoken and written English. This pilot study, conducted at Showa Women’s University, will show how participants improved their English compositions using LEGO Serious Play Method.
This method combines educational theories from Seymour Papert’s Constructionism, Social constructivism, and Neuro-Scientifics. Building LEGO models and explaining them engages the participants’ underlying psychology. This process connects neurons and synapses effectively through tactile manipulation of physical objects. It is based on research showing that the more an activity requires manual dexterity using hands, the more stimulating and effective the activity is.


第197回東アジア英語教育研究会

日時:5月18日(土)15:30-17:30
場所:西南学院大学3号館402教室(旧図書館棟)
参加費:500円

発表:「応用言語学と英語教育:通時的考察」小田眞幸(玉川大学)

〔要旨〕
応用言語学(Applied Linguistics)は「言語学の研究成果を活用し、社会で起きる諸問題を解決する」学問(Brown 1976, Grabe & Kaplan 1982 他)として1980年代から欧米の大学院を中心に(理論)言語学(Theoretical Linguistics)から独立した領域として発展を続けてきた。その「問題解決」の対象は広範囲にわたるが、特に日本における応用言語学の研究は過去30年もの間、外国語、特に英語教育に関するものに特化されてきたと言っても過言ではない。幾つかの大学が「応用言語学」の講座を開設しているが、それぞれのシラバス等を観ると、「応用言語学」があたかも「英語教育」の同義語かのようにコースが設計されている例が多くみられる。

本発表では、1980年代以降の日本における応用言語学の変遷について特に以下の項目に焦点を当てながら、2019年現在の応用言語学の位置づけを確認し、今後どのような問題解決に貢献できるかを論ずる。

1)応用言語学と(理論)言語学
2)応用言語学と英語教育
3)英語の中の応用言語学
4)複合領域としての応用言語学
5)応用言語学の限界

 JACETはJAAL-in-JACETという名称で、国際応用言語学会(AILA)における日本の代表という役割を担っている。しかし英語教育の学会が日本の応用言語学の代表をこれからも続けるにあたっては、英語以外の言語、教育以外の問題解決を視野に入れ、様々な研究領域の学会との連携が不可欠である。そのためのいくつかの提案も行ったうえで、応用言語学の今後について聴衆の皆さんと考えてみたい。

小田眞幸(おだ まさき)
玉川大学文学部教授、同ELFセンター長、学校法人玉川学園評議員。ジョージタウン大学大学院博士課程(Ph.D in Applied Linguistics)を修了後、1990年より玉川大学で教鞭をとる。専門は言語教育政策、マスメディア論、共通語としての英語(ELF).現在JACETの学術交流担当理事としてJAAL-in-JACETの運営にも関わっている。

 



第196回東アジア英語教育研究会


日時:4月20日(土)15:30-17:35

場所:西南学院大学3号館402教室(旧図書館棟)

参加費:500円

共通テーマ:英語教材のAuthenticityについて考える


発表1:「Authentic Materialsを使った授業の考察:学習者への調査結果から 」米田みたか(武庫川女子大学)

〔要旨〕英語教育おけるオーセンティック・マテリアルの使用については、その教育的効果や有用性などが長年にわたって議論されている。本発表は、オーセンティック・マテリアルを使って実施した英語授業について、学習者の視点から考察を行うものである。大学での半期の授業後に、学習者を対象に行った質問紙(オンライン)調査と半構造化面接を通して明らかになった学習者の考える「オーセンティック」とはどういうものかを中心に紹介する。

発表2:「英語再履修クラス受講者の学習意欲を促す取り組み:オーセンティックな教材のオンライン活用」桜井 静(福岡大学) 

〔要旨〕福岡大学の英語必修科目の再履修クラスは、英語に苦手意識がある学生から留学帰りの学生まで幅広い習熟度レベルにわたり、学年も学科も超えた様々な学生を抱える集団である。様々な理由で履修を繰り返す学生や、授業態度や学習習慣に問題のある学生が存在し、1クラス100~150名と多人数であることも踏まえ、毎回、授業設計が難しい。これまでは15週間の平均出席率が約60~70%程度であったが、より多くの学生に授業へ足を運ばせるような授業にすべく、毎週、試行錯誤している。先学期は多様な学生のニーズに応えられるよう、授業で学習意欲を促す取り組みをいくつか行なった。受動的な学習に偏らないように、学生の主体性を重んじ、技能統合型、内容重視の学習活動を授業に盛り込んだ。本発表では、学生からのフィードバックが非常に良かった「オンライン英語学習」の活動を中心に実践報告を行なう。オーセンティック教材として、TED: Ideas worth spreadingとlyrics trainingを使用し、英語プレゼンテーションと洋楽視聴を通して楽しみながら授業で生の英語に触れ、授業外の自律学習へつなげる試みを行なった。学期後、再履修クラスと通常クラス(工学部3年)の学生対象に質問紙調査を実施したが、その結果も報告したい。

発表3:「日本事象のテレビ番組を題材にした大学英語教材開発:実践報告 」津田晶子(中村学園大学)、金志佳代子(兵庫県立大学)

〔要旨〕発表者らは、NHKの日本在住外国人によるトーク番組“Cool Japan”を英語で発信するテレビ番組を元に、日本の大学の英語教材として編集し、四技能のアクティビティーを開発した。本発表では、この教材開発の事例をもとに1.語学番組ではない一般の番組を語学教材として開発することの長所と課題、2.日本事象のCLIL教材としての可能性、3.English as Lingua Franca (ELF)スピーカーの会話を素材として活用することの課題について考察する。