2020年度

第207回東アジア英語教育研究会 (中止となりました)


日時:4月11日(土)15:30-17:30
場所:西南学院大学3号館402教室(旧図書館棟)
参加費:500円

発表1:「日本の高等教育におけるEMI(English-Medium Instruction):国際化の現場とその課題」 金志佳代子(兵庫県立大学) 
〔要旨〕
高等教育の国際化は、世界で拡大する現象であり、日本の高等教育も例外ではない。文部科学省が2009年より「国際化拠点整備事業(グローバル30)」を開始して以降、日本で学ぶ留学生数が増えている。日本の大学は、少子化および大学の国際競争力強化のため、留学生の受け入れをはじめとした大学の国際化、大学間ネットワークの強化、海外オフィスの設立など、大学の国際環境を整える必要性に迫られている。高等教育の国際化が必要とされるなか、日本の大学は専門科目を「英語で学ぶ」EMI(English-Medium Instruction)を実施し、海外の学生が日本語や日本文化を学ばずに日本で学ぶことのできる環境が提供されている。本発表では、EMIを実施している関西地方の大学での現状をもとに1)留学生の入試選抜方法、2)担当教員の役割負担、3)授業運営についての取り組みについて考察する。現在、専門科目を英語で行う日本の大学において、教員・学生は英語を母語としないELF(English as a Lingua Franca)スピーカーであることが特徴であり、英語を媒介とした授業において多くの課題が生じている。教員・学生双方の言語的かつ文化的背景の違いに焦点を当てながら、国際化を図る大学での課題と今後の展望について報告する。

発表2:「3週間の短期語学留学による異文化対応力の向上は可能か」 古村由美子(長崎大学)
〔要旨〕
異文化対応力は、Intercultural Competenceとして国際的に研究されている。初期の研究例を挙げると、Gardner(1962)は、よりよい海外経験ができる人の特性として、(1)非常に高い精神的安定性、(2)外交性、(3)「世の中のすべての人間に価値がある」と思っていること、(4)文化共通現象の存在を肯定する、(5)直観力が備わっていることを挙げている(プリブル, 2006:137-138)。これ以降様々な異文化間におけるコミュニケーション力についての研究が始まったが、SpitzbergとCupach(1984)は、評価についての問題点に着目した。現在、数多くのアセスメントが大学生や社会人を対象として、主にアメリカで作成されているが、日本の学生が海外留学によって異文化での生活や学習を経験した効果を測定できるものが必要ではないか、と考えた。本研究で使用した質問紙はまだ開発途上のものであるが、2018年9月の短期語学留学に参加した学生を対象に留学前と後に実施した。異文化対応力は複数のスキルで構成されるが、向上した、または向上しなかったと考えられるスキルを、実際のプログラム内容と照らし合わせ、事前・事後を含めてどのようなプログラムを実施することで異文化対応力が向上していく可能性があるかを考察する。

発表3:「日本の高等教育における食育英語のCLIL」 津田晶子・仁後亮介(中村学園大学)
〔要旨〕
本研究の目的は、日本の大学がグローバル化する中、日本人大学生と外国人留学生(以下、留学生)が国際共通語としての英語(English as Lingua Franca、以下、ELF)を通じて、より健やかな学生生活を送ることための「食育」のContent and Language Integrated Learning (以下、CLIL)プログラムを開発し、多文化間共修の実践により、英語運用能力と異文化間コミュニケーションスキルを向上させることである。
2005年に食育基本法が制定され、基本的施策の一つに「食品の安全性、栄養その他の食生活に関する調査、研究、情報の提供及び国際交流の推進」がある。日本の大学のグローバル化により、日本人学生と留学生が共に居住する国際寮も増え、大学内の食の国際化に応じて、大学での英語を使用した「食育」のニーズが増えていることが考えられる。この研究を通じて英語教員と専門教員が協業し、「食育英語」のCLILを実践することにより、外国語教育と留学生教育に寄与できるだけでなく、日本の高等教育における食の整備をし、日本人学生、留学生がともにより健康的な食生活を実現することで、大学生活への満足度が向上することが期待できる。
本発表では、英語教員(津田)の視点から、1.大学生の英語を通じた食育の実践例として「実用栄養英語」の実践例、2.University of Queensland CLIL for Higher EducationおよびLTS Intercultural Trainer Trainingの参加、調理学の専門教員(仁後)の視点から、食育英語のCLILで活用できる日英動画作成と九州・沖縄の郷土料理の日英レシピ作成について報告する。
(本研究は中村学園大学プロジェクト研究(2019年度、2020年度)「食のグローバル人材育成のためのアクティブラーニング教材開発」(研究代表者:三堂徳孝教授)およびJSPS科学研究費「留学生と日本人学生の多文化間共修による食育英語のCLIL:ニーズ分析と教材開発」(2019年度-2021年度)課題番号19K00900の助成を受けたものです。)

事務局
原 隆幸