2025年度

第246回東アジア英語教育研究会

会員の先生方へ

第246回の研究会の案内を致します。お忙しいことと存じますが、ご参加いただければ幸いです。
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第246回東アジア英語教育研究会

日時:5月31日(土)15:00-17:00(予定)
場所: 中村学園大学2号館8階 2801号教室(〒814-0198 福岡県福岡市城南区別府5-7-1)
参加費:500円
参加方法:参加を希望の方は、参加申込URLより、事前登録をお願いいたします。
参加申込:https://forms.gle/E3hsU8VXg9Dgejx6A

発表1:「サステナブルツーリズムと大学英語教育」
津田晶子、前嶋了二(中村学園大学)
〔要旨〕
本発表では、サステナブルツーリズムと大学英語教育の連携について探求する。前半では、観光学の教員がサステナブルツーリズムの定義、重要性、国内と海外の実践例、そして現在の課題と未来の展望について説明する。具体的な成功事例を通じて、持続可能な観光の実現に向けた取り組みを紹介する。後半では、英語教員が大学英語教育の重要性とサステナブルツーリズムにおける英語の役割について論じる。また、兵庫県、福岡県、沖縄県の日本人学生と外国人留学生がビデオ会議プラットフォームを活用して、英語でサステナブルツーリズムについて学ぶ事例について、これまでのパイロットスタディと今後のプロジェクトについて報告する。本発表を通じて、サステナブルツーリズムと英語教育の連携の可能性を探り、持続可能な社会の実現に向けた教育の役割を考察する。

本研究は、科研費24K04058「持続可能な観光振興のためのCLIL:ニーズ分析とプログラム開発」の助成を受けている。

発表2:「日本語学習者とのオンライン協働学習(COIL)が教職課程に在籍する学生に与える影響について」 
佐々木有紀(中村学園大学)
〔要旨〕
本研究では、日本の大学の教職課程に在籍する学生とスリランカの大学で日本語を学習している学生とのオンライン協働学習(COIL)について、どのような効果が期待できるのかを主に日本人学生に焦点を当てて分析する。近年、公立学校における日本語指導が必要な児童生徒数の増加は顕著であり、文部科学省の調査によると日本語指導が必要な児童生徒数は過去10年で約1.8倍になり、令和3年にはその数は約5万8000人にのぼった。しかし、現在の教職課程では日本語教育関連科目は充実しているとはいいがたく、教職課程に在籍する学生たちの多くは日本語指導の経験がないまま教壇に立つことになる。このような教職課程の学生たちに、日本語を学習している外国人学生とのCOILがどのような影響を与えうる可能性があるのかを本研究では分析し、効果的なCOILプログラムの設計を提案したい。

発表3:「穏やかな気持ちでコミュニケーションするためのプログラム:実践報告と将来のCLILとしての活用サステナブルツーリズムと大学英語教育」
古村由美子(名古屋外国語大学)
〔要旨〕
本研究で焦点を当てたコミュニケーションには、「自己との対話」及び「他者との対話」という2軸が含まれる。前者では、価値観の異なる相手との葛藤場面で生じる認知に焦点をあて、それへの気づきと変容を通した感情コントロール方法の習得を目指す。他者との対話では、葛藤場面であっても、相手との建設的な相互作用を作り出すことのできるコミュニケーション力の習得を目的としている。
本プログラムは、異なる考え方を持つ人と対立した際のコミュニケーションに焦点をあてている。特に英語話者と日本語話者のコミュニケーションパターンが異なる点にも着目しているため、将来的には英語教育における異文化コミュニケーションのCLIL(内容言語統合型学習)としての活用を考えている。今回は日本語にて教育実践したが、英語教育として本プログラムを実施する場合には、ロールプレイを含む英語でのやり取りなどを通じて英語力向上を図ると共に、日本語話者と英語話者の価値観の違いから生じる可能性のある、miscommunicationに気づき、さらに感情コントロールとコミュニケーション方法についても学ぶことができる。以上の観点から、本プログラムをCLILとして英語教育に導入することの意義について考察したい。

本研究は、科学研究助成金研究C 22K02267「アンガーマネジメントを主体とするコミュニケーション教育の構築と脳科学的効果検証」の助成を受けている。

発表4:「英語ディベート教育における正課と課外活動の連携」 
井上奈良彦(九州大学)、上土井宏太(熊本大学)
〔要旨〕
本発表では、大学の英語ディベート教育における正課としての英語ディベート科目とESSなどの課外活動の連携方法について、九州大学の事例を紹介し、その意義と課題について考察する。英語ディベートは正課の授業においても、コミュニケーション活動が重視され、選択科目として開講されたり、授業の一部として実践される場合も増えてきた。英語カリキュラムの中で必修科目として設定される場合も稀にある。しかしながら、実践経験や適切な教材の不足によって導入が難しいと教員が感じる場合が多い。授業時間内に試合形式のディベートを行うことには時間的な制約もある。一方、日本では伝統的にESSなどの名称の課外活動(クラブ、サークル)が、学生の自主的な英語学習の場として機能し、ディベートやその他のスピーチ活動を日常的に練習し、地域や全国規模の組織を作り大会運営も行っていた。ただし、いくつかの要因によって、その活動は衰退しているのが現状である。そういったこれまでの経緯を振り返り、今後どのような形で正課と課外活動が連携して英語ディベート教育の普及と発展に貢献できるのかを検討する。

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